その2 スクライブ製図法


スクライブ製図法は、銅版彫刻法(エッチング法)から昭和30年代に移行した方式で、透明で無伸縮なフィルムの表面に塗ったオレンジ色の薄い遮光性被膜(スクライブベース)を様々な太さの針で削り取り、線版を作る製図法である。

地図製図作業に使用される器具の一例 (写真1)
スクライブに使う器具

この製図法は、シャープな線が得られるので、それ以前の製図ペンや烏(からす)口を用いてインクで描く製図だと、詳細な地図を1/1にて表現することが難しかった(例えば国土地理院の作業でも5/4倍の大きさで行われていた)が、等倍で精度よく製図が行えるようになったものだ。

作業は、下からの透過光線によって作業をするためにライトテーブル上で行う。
あらかじめスクライブベース表面上に測量原図を焼付け、図式にしたがって作製された針を装着したスクライバーという器具によって、線や記号の形にスクライブベースの遮光性の被膜を削り取り、測量原図の図柄をそのまま移写することが主な作業となる。

地図製図作業に使用される器具の一例 (写真2)
スクライブ作業の様子

多色の地図には、表現する色数枚のスクライブベースを必要とし、それぞれの色のみの部分の線・図形になるようオレンジの遮光性被膜を削り取るという細かい仕事だ。
他の色に対しては、マスク(遮光)版ということになる。削られた部分は光を透過する。
結果としてはかなり精度の高いネガ状の原図ができる。
仮に失敗したら、修正液を使ってやり直すことはできる。

地図製図作業に使用される器具の一例 (写真3)
マスク版作業の様子

そのほかに、文字部分用に注記版という、黒色文字を薄いフィルムに貼った写植文字を貼り付けた版も必要だ。
たとえて言えばかつて浮世絵を刷って作った版画と思ってもらえればいいかな。
線・図形・文字の各色のベースの位置をピッタリ合わせなければならないので、細かい作業の多い、結構面倒な製図法と言える。

(次回へつづく)

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