地形図の概要
1地形図とは?


◆地形図について

 地形図は、地球上の山川、水陸、湖沼、土地の高低などのありさまに、自然及び人工形象物を加えて、一定の割合で水平位置を正確に縮小し、記号、文字などを用いて平面上に表した図です。土地の高低は等高線や、ぼかし(レリーフ、シェディング)を用いて表します。

 

◆基準点とは

地形の起伏は測量によって測定し、これを図示することになりますが、地球上の正しい位置関係をその基本としてお り、広い地域での一定の精度を必要とするため、地図作成の骨組みになる基準点を設置し、相互の位置や高さの関係を知るため、基準点測量を国の責任で行っています。三角点と水準点が、基準点にあたります。それぞれ一等三角点、二等三角点などの等級に分けられています。

日本の地表の位置(経緯度)の基準になる三角点は、一等三角点973点、二等5,056点、三等32,728点、四等62,538点で、逐年増設され、日本全域をカバーしています。三角点は地図上では記号で書かれ、その標高には数字が併記されています。全国の基準点の経緯度原点は東京都港区麻布台2-18-1(世界測地系:東経139°44′28″8759、北緯35°39′29″1752)に決められています。

また、土地の標高は、東京湾平均海面を基準としており、全国の水準原点は東京都千代田区永田町1-1に設置され、日本水準点の標高は24.4140mです。さらに、全地球測位システム(GPS)を使った位置を確かめる方式が併用され、電子基準点1,224点が設置済です。これらは人工衛星の電波を受信して測量精度を高める上で、大いに役立っています。

 

◆測量成果と地形図への表現

基準測量によって、位置、高低、距離等を測り、地形測量として平板測量・写真測量、現地調査を経て、例えば国土地理院発行の2万5千分の1地形図の場合、地形のかたち、高低、水涯部(海岸、湖沼、河川)、道路・鉄道・軌道や、行政界、官公庁・学校・工場・発電所・病院・神社・寺社・高塔のほか、重要地物の所在位置を記号として表示し、自然地形名、水部地形名・固有名詞・行政名などが表記されています。

植生表現として、田、畑、牧草地、果樹園、桑畑、茶畑、その他の樹木畑等は、それぞれに記号を定め、植生界も用いて表現しています。広葉樹林、針葉樹林、はいまつ地、竹林、しの(篠)地、やし科樹林、荒れ地は各項目ごとに記号を設けています。そのほか水面標高・水深、ダム・滝・せき・水制・水門・地下の水路・流水方向・かれ川、橋・渡し船、岸高・比高が水関係で表示されています。

市街地の表記については、建物・密集地・墓地・温室・畜舎・タンク・樹木に囲まれた居住地・空地などが表記されており、山地は等高線の他、小凹地・凹地・がけ・岩、万年雪が表示されています。海浜部は堤防・護岸・防波堤、フェリー発着所、砂れき地・干潟・岩が、三角点、水準点は標石の有無を、電子基準点も表記されています。

図郭線の四隅には、経緯度数字が明記され、街道名・ゴルフ場等の表記も含まれて、まさしく「地形図」としての充実した内容になっています。

 

◆地形図での表現と活用

特に地形図を見易く表現する技法として、複雑に入り組んだ地形、屈曲の多い山路、密集した市街地の建物など、そのまま縮尺に合わせて縮小すると混み入りすぎて分かりにくくなる場合、その特徴や形態を損なわないよう配慮して、全体を大掴みに捉えて簡略化し、分かりやすく表現する技法である「総描」が用いられています。基準を設けて編集されますが、作業の電子化が簡単に解決できない分野と言われています。

植生の樹木が広葉樹林・針葉樹林の記号で表記してあっても、記号の一つが樹木の生えている位置を示すのではなく、記号の辺りが、その樹木が茂っていることを示し、これは総描のひとつであり、個々の位置を示すものではありません。

地形図を持って、その場所で総描の巧みさを探られることで、地形図の読み方を会得してみてはどうでしょう。さまざまな主題が地形図にプロットされた場合、縮尺に見合った価値を見出すことになるでしょう。徹底した科学的測量による、世界測地系の経緯度を精密に内含する地形図は、特に2万5千分の1地形図については、日本全域を常備・供給されている「国民の国土基本図」として、多岐にわたって広く利活用されることが望まれています。