地形図の歴史・生い立ち
1.伊能図は地形図?

 

基準点に基づいて、地表面の土地の起伏・形状・水系などの自然及び人工物の平面位置と高さを測量して、縮尺に応じて正確に、位置、高さ、土地の形状を表示した地図を地形図といいます。 地形図には、実測図とその実測図から編集される編集図がありますが、いずれも中・小縮尺の地図編集の基礎資料となり、また、 主題図の基図として広く用いられます。代表的なものは、国土地理院の1万分の1、 2万5千分の1、 5万分の1地形図です。

 

日本の最古の地形図は?というと、伊能忠敬(いのう ただたか 1745‐1818)が55才となった1800年から測量に着手し、没後の1821年に「大日本沿海輿地全図」として幕府に上程され完成に至ったいわゆる伊能図でしょうか?

 

≪伊能図について≫
伊能忠敬は、上総国山辺郡小関村(現在の千葉県山武郡九十九里町小関)に生まれ、その後、佐原村(現千葉県香取市佐原)の伊能家の養子となり、隠居後、55才からわが国の全土の測量をめざして、第一次測量(1800年奥州経由蝦夷地)〜第八次測量(九州・中国・ 中部地方の内陸部)、以降は、忠敬は参加しませんでしたが、第十次測量まで実施しました。

 

「大日本沿海輿地全図」は、大図(30幅214枚、縮尺は主に36,000分の1)、中図(2幅8枚、縮尺216,000分の1)、小図(1幅3枚、縮尺432,000分の1)で、いずれも全国をカバーしており、「大日本沿海実測図」と呼ばれることもあります。大図は焼失して現存するものはありません。複製として来歴が確かなものは、壱岐、五 島、長崎・佐世保、平戸領の5図、京都大学図書館下書き9図、海洋情報部最終版模写147図があり、その後の米国、海洋情報部等で214図すべての情報が 得られました。大図には、経緯度線、方位線とも記されていません。
中図(下図参照)のみが、東京国立博物館蔵の8枚揃い(豊橋藩大河内家伝来)、成田山仏教図書館蔵8枚揃い、フランス人イブ・ペイレ氏蔵8枚揃いの3種類 が知られています。その他に東京大学総合研究博物館、国土地理院、日本学士院等にもあります。これらには、経緯度線が黒、方位線が赤で記されています。
小図は、3枚揃いの写本が英国水路部所有国立海事博物館蔵に、2図は神戸海洋博物館にあり、経緯度線が黒で記されています。2002年になり、東京国立博物館所蔵の「日本国図」3枚揃いが、原本の副本であることが確認されました。

 

この他、測量の記録等について、大日本沿海実測録14巻があります。

 

大日本沿海実測図(伊能中図) 発行武揚堂 日本国際地図学会 監修 『大日本沿海実測図(伊能中図)』 (武揚堂)